フランスを震撼させた一連のテロ事件は、ひとまず解決しました。でもパリ市内はまだ、騒然とした雰囲気。警察署前の警官たちは、襲撃に備えて防弾チョッキを着用しています。
そんな時にノー天気に(そんな時だからこそ?)、友人たちとのんびりジョギングに出かけました。
パリの南側を走るトラムに沿って、ぐるっとポルト・ド・シャラントンまで。この地図だと、13km地点の辺りですね。ちなみにそこから10分も走れば、立てこもり事件のあったポルト・ド・ヴァンセンヌです。
そこまで何しに行ったかといえば、フェーヴの見本市を見にいったのでした。
こじんまりとした会場で、来場者も出展者も平均年齢はかなり高いのですが、入った途端にある種の熱気を感じました。
各ブースに何百何千のフェーヴが並べられ、
コレクターたちがひとつひとつ、丹念に見て回ってます。僕も会場を回る間になんとなくわかったんですが、ブースごとにかなり内容が違うのですね。フェーヴの造り手にも有名な作者、工房があって、そういうもの中心に展示してたり、あるいは有名パティスリーのものを出してたり、
シャンペンのアルミキャップも、無数に並んでました。
こちらはラデュレの、最近のものですね。上にあるクリスチアン・ラクロワシリーズは僕もひとつだけ持っているんですが、セットだと100ユーロ。ところがその下の二つは、各200ユーロ(!)。箱がやわくて、オリジナルの箱入りは珍しいという理由でした。もうほとんど、「なんでも鑑定団」の世界です。
今回連れて来てもらった友人はこのサロンの常連で、出展者の方からひっきりなしに挨拶されてました。おそらく日本人としては、屈指のコレクターなんじゃないかな。
分厚いノートを見せてもらうと、膨大なフェーヴシリーズの自作カタログでした。すでに入手したものにはX印が付けられ、それ以外の作品を、目の前に並ぶ現物とひとつひとつ照合して行く。すごい情熱です・・。
彼女が特に親しくしているのが、このご夫婦。フェーヴ研究家として何冊も著作のある、この世界では著名なコレクターカップルです。しかも二人揃って、トレイルランナーでもある!こちらの繰り出す幼稚な質問にも、実に懇切丁寧に答えてくれました。
実はフェーヴの発祥は、19世紀末のドイツなんだそうです。より正確には素朴に彩色された小さな陶製の人形を作っていて、それを見たフランスのパン屋が、ガレットの中に入れるアイデアを思いついたんだそうな。
そんな説明を聞くうちに、古いフェーヴをふたつ、ついつい購入してしまいました。
右が第一次大戦前にドイツで作られたアヒル(?)。左は1920年ー40年代のリモージュ製の赤ん坊。この時代のフランスのフェーヴは無彩色が基本で、こんな風に顔が描かれているのは比較的珍しいとのことでした。とはいえ、ひとつ5ユーロです。さっきのラデュレの法外な値段に比べれば、100年の歴史を700円で買えるのですから、安いものです。
見本市を出てから、走って5分ほどの例のクグロフ屋さんへ。
クグロフと小ぶりのガレットを買って、自転車で帰りました。
幸運をもたらす蹄鉄が出てきましたよ。
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