『廣重・ゴッホ』展。日本人であることが、ちょっとうれしくなるような。
明日から3月だというのに、パリはまだ寒いです。
どんより曇り空の下、マドレーヌ界隈まで出かけました。お目当ては、
マドレーヌ寺院裏のピナコテークでやってる『廣重・ゴッホ』展。
正確には、『廣重「旅の芸術」・ゴッホ「日本の夢」』展。ゴッホがいかに歌川廣重を始めとする浮世絵師に影響を受けたかを、実物を並べて検証する展覧会でした。
廣重の作品は、ほぼすべてがオランダ・ライデンの美術館蔵らしく、東海道五十三次と木曽街道六十九次がメインでした。全作をじっくり見るのは考えてみると初めての経験で、ただひたすら堪能。特に東海道の方は初刷りの上に保存状態も良かったのか、実に瑞々しい作品群でした。
たとえばこの『蒲原』とか。フランス人の来館者たちが、ガラスに顔をほとんど押し付けながら、じ〜っと長い間、一枚の版画を凝視している。その姿が、ちょっとゴッホにダブりました。
素晴らしい展覧会だったんですが、一点気になったことが。廣重紹介の映画を上映してたんですが、音楽が雅楽だったんです。それが会場全体に静かに流れてる。日本人ならすぐに感じる廣重と雅楽のミスマッチさを、フランス人はわからない。同じことを、僕たちもフランスの文化に対してやらかしてます。異文化理解がいかに一筋縄では行かないかの、典型的な例だと思いました。
で、実は廣重展は第一部に過ぎず、ゴッホ展は近所の別館でやってるんですね。この時点でくたびれた上に、空腹耐えがたく、
界隈のレバノン料理ファーストフードの店に飛び込んで、前菜八種盛り合わせに没頭。元気を取り戻してから、ゴッホ展に突入しました。
こちらは同じくオランダの、クレラー・ミュラー美術館蔵。廣重の印刷したのと、作品を比較する構成になってます。できれば、本物同士を並べてほしかったかと。しかし相変わらず、生ゴッホには圧倒されるばかりでした。
ほぼヘロヘロになって美術館を出て、歩いていくと、
間の悪いことに、とらやに遭遇。
昼飯より高くつくお八つであることは重々承知しつつ、抹茶と和菓子をいただいたのでした
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