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2012年11月27日 (火)

「モニシャの涙に見えた、可夢偉放出の本音」。

今シーズンも終了しました。さて、可夢偉くんは来季、どこで走れるのか。ブラジルで取材した限りでは、ひょっとしたら「あの」チームに行けそうかなあ、という感触もありましたが。

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ザウバーでの最終戦を終えてガレージに戻ってきた可夢偉くんを、モニシャ・カルテンボーン代表が母親のように抱きとめてました。

以下は、今週木曜発売の「オートスポーツ」誌に書いたコラムです。宣伝も兼ねまして(o^-^o)。

「モニシャの涙に見えた、可夢偉放出の本音」

 来季のドライバーラインナップを知らせるチームリリースがザウバーから届いたのは、ブラジルGPの金曜日だった。通常より長めのリリースは大部分が新ドライバーの紹介だったが、異彩を放っていたのは末尾の一文だ。モニシャ・カルテンボーン代表による、可夢偉への感謝のコメントだった。

 「最後にカムイ・コバヤシにも、言及したい。この3年間のカムイは、コース上で手ごわいドライバーであることを証明しただけでなく、人間的にも素晴らしく、チームプレイヤーに徹し続けてくれた。チームの誰もが彼に最大限の敬意を払ってきたし、それだけに鈴鹿での表彰台はわれわれにとって本当に特別な瞬間だった。今回の決定は決してたやすいものではなかったけれど、カムイとともに戦うのは今季限りとし、新たな出発を目指すことにした。カムイの将来が輝けるものであることを、切に願いたい」。

 そのあとペレスへの感謝の言葉が続くのだが、こちらはありきたりな表現の、あっさり短いものだった。しかしチームを去って行くドライバーに対しては、むしろこちらが普通であって、モニシャの可夢偉への手厚い言及は、しごく異例と言っていい。

 チームは今季、計4回の表彰台を獲得しているにもかかわらず、モニシャが挙げたのは「本当に特別な瞬間」の鈴鹿だけだった。実際、あの表彰台の下で、モニシャは可夢偉を見上げながら、流れる涙を抑えられずにいた。

 そして最終戦。可夢偉を抱きしめて健闘を讃えたモニシャの目は、ふたたび真っ赤だった。チームリーダーがこんなに涙もろくていいのかとも思うが、彼女のこの涙こそが、今回の「苦渋の決断」を雄弁に物語る。

 「グティエレスの抜擢は、決してお金の問題ではない」と言いつつ、「日本企業が可夢偉を支援してくれなかったことは、本当に残念」ともコメントする。言っていることは支離滅裂だが、それは本人も百も承知のはずだ。

 終盤数戦のモニシャは、はた目にも悩みまくっていた。可夢偉は、得難い存在である。しかしメキシコマネーを引き上げられたら、チームの存続にかかわる。USGPをノーポイントで終えて、選手権5位奪還がほぼ不可能となった時点で、決断は下された。モニシャは文字通り、泣いて可夢偉を切ったのである。

(了)

 

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コメント

本日「Kamui Support」に応援と感謝の意味を込めて1口参加させて頂きました。
来年も可夢偉選手の勇気と夢をみさせてほしいとの思いもありますが、正直この一年間に頂いた夢の対価としての気持ちです(きれいごと?)
生き馬の目を抜くF1という世界においてメディアを通じて発表されるコメントの信憑性はどれほどのものか解りませんが、ロペスから2013年ドライバーに関するコメントが出ていましたね。
建前であることを願い、そしてこの感謝の気持ちを伝えたくコメントさせて頂きました。

投稿: kat | 2012年11月27日 (火) 10時54分

katさん、コメントありがとうございます。

ブラジルから帰る機内でフィンランド人ジャーナリストと話してたら、彼も可夢偉の去就に強い関心を持ってました。その彼からの情報で、ロペスは「来年は選手権3位を狙いたい」と言ってたそうな。本当にそう思っているのなら、グロジャンではどうかな・・というところですよね。

投稿: ムッシュ柴田 | 2012年11月27日 (火) 13時40分

現地で見ていただけにモニシャのこの発言は納得。

投稿: nao | 2012年12月 1日 (土) 08時41分

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可夢偉の走りを来期もみたいです、ホントにこのコメントは納得です・ [続きを読む]

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