"The Artist"『アーチスト』は、贔屓(ひいき)の引き倒しかと。
今年の米アカデミー賞主要部門を、全部さらってしまった"The Artist"『アーチスト』。もちろんフランスでは、受賞直後から大騒ぎです。それまでパリでも上映館は決して多くなかったのが、うちの近所の映画館でも今週から急きょ上映となったので、さっそく観に行ってきました。
快調な出だし。時代は、サイレント映画爛熟期の1920年代後半です。ダグラス・フェアバンクスを彷彿とさせる主人公が、いきなり大活躍。導入部からジャン・デュジャルダンの魅力満開で、すぐにモノクロ無声映画の世界に引き込まれます。
サイレントからトーキーへの移行期の悲喜劇は、これまでも何度か映画化されています。チャップリンの伝記映画『チャーリー』は、好きな1本でした。
ペピーとの出会い。その後、お互いに魅かれ合って行く様子を、同一シーンのテイクの積み重ねで見せて行く演出など、前半3分の1はうまいなあと感心しきり。
でも中盤、トーキーが勃興し、さらに世界大恐慌にも遭遇し、本人が落ちぶれて行く展開部分は、かなりだらけてしまうのが残念でした。無声映画での複雑な心理描写は確かにむずかしいものですが、中盤は「声のないトーキー」の撮り方になってる。だからくどく、長く感じると思うのですが。
フィナーレは、最高です。体つきが似ていることを、おそらく本人もよくわかっているのでしょう。ジーン・ケリーばりのタップダンスを見せてくれます。この映画に入るまでまったく踊れなかったそうですが、これだけ見せる踊りができるのは、天性のものなんでしょう。(もちろん本物の方は、そりゃあ凄いものですが。こちら)
舞台設定、そして何よりデュジャルダンのノスタルジックな魅力が、アカデミー賞審査員たちにグッと来たんでしょうね。中盤はばっさり削って、序盤終盤をたっぷり堪能したい。そんな映画でした。
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