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2011年5月15日 (日)

美術館の夜。

 今年で7年目になる、『美術館の夜La Nuit des Musées』という催し。ヨーロッパ中の3000以上の美術館、博物館がこの日だけ深夜まで開館し、基本的に無料になるという、粋なイベントです。せっかくだからと、歩いて15分ほどの「ケ・ブランリ美術館」に家族で行ってきました。

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 長蛇の列を覚悟していたのに、ガラガラだった入り口付近。

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内部は、緩やかなスロープを上がって行って、各展示室に行き着く構造。薄暗い通路に降り注ぐ、世界中の言葉のシャワーが美しい。

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 「世界中の原始美術(プリミティブ・アート)を一堂に展示したい」と、先代のシラク大統領が実現に執念を燃やした美術館です。ポンピドーがポンピドー美術館を遺し、ミッテランがオペラ・バスチーユや国立図書館などを造ったことに倣いたかったんでしょう。「文化に強い」というのは、フランスの大統領に対する評価の中では、かなり上位に位置するものですから。

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 ただ実際に見て回ると、オセアニアとアフリカのコレクションが特に充実していることに気付きます。日本、中国はほぼ皆無で、北米もほんのちょっとだけ。埴輪とか土偶とかがアフリカ美術といっしょに並んでたら、けっこう見ごたえがあったでしょうが。

 それからシラクは、ここは「美術」館であって、「博物」館ではない。美を観賞する場であることを意識してほしいと強調し、それに対して研究者たちから抗議も起きたとか。

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 まあ、でも観に来たわれわれは、ただただ展示品の迫力に圧倒されるばかりでした。たとえばこのニューギニアの、人間の骸骨に装飾を施した仮面とか。

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 グリーンランドの、そのまんまピカソ風のマスクとか。

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 この木彫り像は、ガボンだったかな。

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 アニミズム満開の、チリのカーニバルの衣装。でもこういうのを全部まとめて、「原始美術」とくくるのは、ちょっと無理がある気がします。日本の数少ない展示は、紅型模様だったし。あれを原始美術と言われても、ねえ。

 とはいえ質量ともに圧倒的なコレクションですから、ただ口を開けて見て回るだけでも十分に堪能できます。次回はもっとじっくり、観に来ようっと。

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