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2009年3月22日 (日)

美術館へ、プチ遠足。

 娘の通う小学校では年に何度か、半日ほどのプチ遠足がある。そしてそういう時には付き添いのために、4、5人の父兄に招集がかかる。

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 「2列に並んで、前後の間隔を詰めて」、なんてことを言っても、フランス人の子供たちは全然聞かない。だから一人の父兄が5、6人を担当して、列から飛び出したりする子を見張るのだ。

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 今回は僕も参加して、近所の近代美術館へと向かった。

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 入るとすぐに、アメリカのジミー・ダーハムのオブジェが展示してある。「岩につぶされた飛行機」。これがゲージツなどと思うよしもない子供たちは、走り寄って行って触りまくり、制止するのに大わらわだった。館長の方針で、作品と鑑賞者を隔てるロープとかを、いっさい置かないようにしてあるのだという。素晴らしい方針だけど、おとーさんたちは大変。

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 ラウル・デュフィの大壁画。めくるめく色彩が、圧倒的な迫力で迫ってくる。さわっちゃ、ダメだってば!

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 学芸員の女性が、子供たちをフォービズム(野獣派)の絵の前に座らせる。後ろにはずらりとツボや皿が並んでいて、ひっくり返しはしないかと、大人たちはハラハラだ。

 彼女が樹木や空や道の色を子供たちに訊ね、「ホントの色とはずいぶん違うよね。どうしてだと思う?」というところから、フォービズムの成り立ちをかみ砕いて説明して行く。専門家とはいえ、うまいもんだ。

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 説明が終わると、「じゃあ、自分だけの花の絵を描いてみよう」と、車座になってお絵描きが始まった。ブラックやらピカソやら、本物がずらりと並ぶそのすぐ前で、悪ガキたち、いやお子様たちに平気で絵を描かせるなんて、すごい。木の床にパステルがはみ出してたけど、そんなことかまってないし。

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 「きれいに描こうとしちゃ、ダメ。今まで自分が描いたことのないようなものを、描くように」。要は、既成美術を否定したフォービズムの歴史を、疑似体験させようとしているわけだ。

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 続いて、ダダイズムの作品に移る。「ごみ箱から拾ってきたものを材料にした」という説明に、子供たちから驚きの声が上がる。「他人が『何、これ?』と思うものでも、自分のサインをすれば、その人にとっては作品になるのよ」。付き添ってる大人も、いっしょにフムフム。小さい時から、うらやましい環境だな〜。

ちなみに・・・、

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 ウルトラマンに登場した「ダダ」の名前も、ダダイズムから取ったんだよね。

 




 








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