美術館へ、プチ遠足。
娘の通う小学校では年に何度か、半日ほどのプチ遠足がある。そしてそういう時には付き添いのために、4、5人の父兄に招集がかかる。
「2列に並んで、前後の間隔を詰めて」、なんてことを言っても、フランス人の子供たちは全然聞かない。だから一人の父兄が5、6人を担当して、列から飛び出したりする子を見張るのだ。
今回は僕も参加して、近所の近代美術館へと向かった。
入るとすぐに、アメリカのジミー・ダーハムのオブジェが展示してある。「岩につぶされた飛行機」。これがゲージツなどと思うよしもない子供たちは、走り寄って行って触りまくり、制止するのに大わらわだった。館長の方針で、作品と鑑賞者を隔てるロープとかを、いっさい置かないようにしてあるのだという。素晴らしい方針だけど、おとーさんたちは大変。
ラウル・デュフィの大壁画。めくるめく色彩が、圧倒的な迫力で迫ってくる。さわっちゃ、ダメだってば!
学芸員の女性が、子供たちをフォービズム(野獣派)の絵の前に座らせる。後ろにはずらりとツボや皿が並んでいて、ひっくり返しはしないかと、大人たちはハラハラだ。
彼女が樹木や空や道の色を子供たちに訊ね、「ホントの色とはずいぶん違うよね。どうしてだと思う?」というところから、フォービズムの成り立ちをかみ砕いて説明して行く。専門家とはいえ、うまいもんだ。
説明が終わると、「じゃあ、自分だけの花の絵を描いてみよう」と、車座になってお絵描きが始まった。ブラックやらピカソやら、本物がずらりと並ぶそのすぐ前で、悪ガキたち、いやお子様たちに平気で絵を描かせるなんて、すごい。木の床にパステルがはみ出してたけど、そんなことかまってないし。
「きれいに描こうとしちゃ、ダメ。今まで自分が描いたことのないようなものを、描くように」。要は、既成美術を否定したフォービズムの歴史を、疑似体験させようとしているわけだ。
続いて、ダダイズムの作品に移る。「ごみ箱から拾ってきたものを材料にした」という説明に、子供たちから驚きの声が上がる。「他人が『何、これ?』と思うものでも、自分のサインをすれば、その人にとっては作品になるのよ」。付き添ってる大人も、いっしょにフムフム。小さい時から、うらやましい環境だな〜。
ちなみに・・・、
ウルトラマンに登場した「ダダ」の名前も、ダダイズムから取ったんだよね。
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- しっかりドカ食い!の中国GPブログその2です〜(2018.04.18)
- 中東バーレーンから上海へと、旅がらすでございます。(2018.04.12)
- まずはバーレーンGPブログその1です。(2018.04.07)
- TOYO Tokyo、行ってきましたよ。(2018.04.04)
- 『蕎ノ字』さん、今回も堪能させていただきました。(2018.04.01)
「パリ暮らし」カテゴリの記事
- 親子3人パリ暮らし。(2017.03.30)
- 船便、届きました〜(^^)(2016.05.24)
- 引っ越し作業中に発掘したものーその3ー(2016.03.14)
- 引っ越し作業中に発掘したものーその2ー(2016.03.12)
- 引っ越し作業中に発掘した物ーその1ー(2016.03.04)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント