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2009年3月24日 (火)

『ジャビーズ・コラム最終章』。

 今回は、ちょっと宣伝です。

 二玄社という出版社から、『ジャビーズ・コラム最終章』という翻訳書を出させていただきました。

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 僕の仕事上の大先輩でもあったジャビー・クロンバックというスイス人ジャーナリストが、戦前からの半世紀以上にわたるレース遍歴を語った本の完訳です。

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 この本は、こんな感じで始まります。

 「私はつくづく、幸せな人間だと思う。なにしろ人生の大部分をフリーランスとして過ごしてきたから、朝起きた時に『くそ、今日も会社に行くのか』と毒づく必要はなかった。週末ともなれば、私の職場は世界中へと広がった。これまでヨーロッパ外へ旅行した際の航空券をすべて保管しているが、計算すると優に40周は地球を周回していることになる。数少ない心残りは、ミッレミリアに参加しなかったことと、「クイーン」あるいは「フランス」といった豪華客船で大西洋を渡らなかったことぐらいだ」。

 「私はグランプリに、人生を捧げてきた。そのために失ったものも多い。家族との団欒は、その最たるものだろう。しかし私という存在のベクトルは、すべてがF1GPに向かっていた。自動車レースは単なるスポーツではなく、宗教なのである。」

 「そんなだから、他のことには興味が持てない。スティーブ・マックィーンが私に会いにパリまで来た時も、彼が誰なのかまったく知らなかった。スターリング・モスからの紹介と言われなかったら、無視していたことだろう。」

 「あるいは後年、ジャッキー・スチュワート主宰の夕食会で、ある男と楽しく歓談したことがあった。あまりにレースに詳しく、的確な判断を述べるので、『どの雑誌に記事を書いてるんですか?』と訊ねた。すると彼は、『私はジャーナリストじゃありません。ミュージシャンのフィル・コリンズですよ』と返された。もちろん私は聞いたこともなく、しかもその晩は彼のことをずっと、「ジョージ」と呼んでいたらしい。ある日ジャッキーが大笑いして、こう話してくれた。
 あの夕食会以来、フィルが私に電話してくる時は、決まって『もしもし、ジョージですが』と言うんだよ。」

 本人の人柄が偲ばれるこういう文章は、訳していて面白かったです。

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 とはいえ原著は大判二段組の400頁近い大著で、日本語でも400字詰め原稿用紙1000枚以上の分量になりました。上の写真のように、原著のレイアウトもほとんど忠実に再現されています。かかわった人間がいうのもなんですが、かなりの労作です。二玄社でなければ、できなかった本でしょう。

 値段は・・・、税抜きで8800円(!)。とても気軽に買える値段ではないのですが、できれば図書館でリクエストして、読んでいただければ幸いです。

 訳者も「訳者後書きに代えて」の最後に、こう言っています。

 「古くからのジャビーファン、F1ファンだけでなく、これまで自動車レースに興味のなかった人々に一人でも多く、この本が読まれますように。」

 


 


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コメント

訳者も言っています・・・ってムッシュウが言ってるんんですよね?わ~スゴーイ!買いたい!と思ってamazonで見たちゃいました。税込みだと9240円ネ・・・。ちょっとお時間ください・・・。

投稿: しろみ | 2009年3月24日 (火) 16時08分

いやいや、購入されなくてもけっこうでございます。1冊ぐらいプレゼントしましょう、・・・と気軽にも言えず。ご帰国の折り、図書館でリクエストして下さいまし。

投稿: ムッシュ柴田 | 2009年3月24日 (火) 16時24分

翻訳、お疲れ様でした。ムッシュ・ファンの一人として、一冊購入させていただきます。

投稿: minmin | 2009年3月25日 (水) 23時27分

ありがとうございますweep。でも経費で落ちるのならともかく(そんなわけないか)、そのお金でおいしいワインをお買い下さい。

投稿: ムッシュ柴田 | 2009年3月26日 (木) 02時14分

ずーっと欲しかったんです。これ
最近、小川さんの「小川フミオ的仕事」で紹介され、ググルと柴田さんのblogにたどり着きました。
日本にいるころから、ジャビーさんの大ファンでいつもCG買えば最初によんでいました。あの辛口コメントが大好きでした。病気で連載が終了してしまったことも悲しかったけど、亡くなったときもとても悲しく感じました。
外国暮らしのため、帰国した暁にはと思っていますが、残ってるかなぁ〜〜

投稿: marque | 2009年11月10日 (火) 22時11分

marqueさん、こんにちは。本のこと、楽しみにして下さってありがとうございます。ご帰国がいつかは存じ上げませんが、残ってると思いますよ(おそらく)。amazonでも、「在庫あり」になってるようですし。

とはいえ小川さんも書いてましたが、いろいろ事情もあったとはいえ、ちと単価が高くなってしまったのが残念。改めて廉価版が出るといいなと、思っている次第です。

投稿: ムッシュ柴田 | 2009年11月10日 (火) 22時36分

ムッシュ、
帰国の折にと思っておりましたが、なかなか帰国することもままならず。
結局amazonでお取り寄せしました。就寝前と週末の密かな楽しみとなっています。
英語版も探してみましたが、本書はフランス語と日本語のみ。母国語で読むことを可能にした二玄社とムッシュ柴田に多謝!

投稿: marque | 2011年11月20日 (日) 09時06分

marqueさん、こんにちは。すっかりご無沙汰してしまいました。あれからちょうど、2年が経ったんですね。

わざわざお取り寄せいただき、ありがとうございます。

原著が出た頃には、英語版も出版されると聞いていたんですが、結局出なかったんですね。でも日本語版は、一応(ほぼ)完訳です。写真もほとんど全部が収録されているはずです。楽しんで読んでいただければ、これ以上うれしいことはありません。

投稿: ムッシュ柴田 | 2011年11月20日 (日) 10時33分

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