お正月は、志ん朝で。
自分へのクリスマスプレゼントに、志ん朝全集(上)を購入した。それからはヒマを見つけては、ひとネタずつ、一人で聴き入っている。
志ん朝の高座は、本当にきれいだ。もっとくすぐって、いっそう座を湧かせるぐらいは朝飯前だろうに、その境界は決して越えない。おだやかで品が良くて、今どきのように30秒に1回笑わせるようなこともないから、長い噺では途中でうつらうつらしてしまうこともある。でもそれも、心地よい。聴く度に、日本語を母国語にして本当によかったと、しみじみ思う。
冒頭の「文七元結(ぶんしちもっとい)」が、このDVD8枚組の中でも白眉ではなかろうか。最初はこのあまりにオーソドックスな江戸前噺に没入するのに、少し時間がかかる。でも一度浸ってしまえば、豊かな物語世界に陶然とするばかり。そして長い余韻が、いつまでも後を引く。
実際の志ん朝は1990年代初め、パリの「日航寄席」で一度だけ聴いたことがある。50台前半の、円熟期だったと思う。聴衆は日本語の笑いに飢えているであろうと察したのか、軽妙なネタだったように記憶する。とにかく場内は、大爆笑だった。でもこのDVDの中には、もっと静謐な時間が流れている。落語で静謐というのも変だけど、だからいっそう、何度も聴き直したくなるのかもしれない。
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