わが家は、「葡萄畑通り」。
酷暑の日本から、朝晩は羽根布団が恋しいパリに戻ってきた。でも日本でビールにすっかり親しんでしまったせいか、こちらに戻ってもベルギービールを飲んだりしている。
さて、うちのアパートのある通りは、Rue Vineuse(リュー・ヴィヌーズ)という。
直訳すると、「葡萄畑通り」。数年前にここに引っ越してきた時には、「やっぱりワインか・・」と、運命的なものを感じたものです。で、なぜ「葡萄畑通り」かというと、18世紀ルイ13世の治政下、このあたりには広大な葡萄畑が広がっていたのだそうな。そして、現在トロカデロ広場になってる場所には「シャイヨー修道院」が建っていて、そこの所有する畑であったと。
そしてブローニュの森に狼狩り(!)に出かけるのを趣味としていたルイ13世が、帰途必ずここに立ち寄って、ワインを賞味したのだとか。
今このあたりには、主としてオスマン様式のアパルトマンが林立し、当時の面影はかけらもない。でもトロカデロ広場からうちの通りまで、さらにそこからパッシー界隈まで、なだらかな起伏が続いている。目をつぶって、そこにびっしりと葡萄の木が植わっていた往時の様を想像するのも、ちょっと楽しい。
ここで紹介した昔の話は、すべてこの本に書いてある。「パリの通り辞典」。全部で4999の通りについて、その由来や意味を記してある。奥付を見たら、1986年になっている。こちらに来て数年してから、買ったんだと思う。読み物としても楽しいので、今でもたま〜にページをめくったりする。
日本もあの複雑怪奇な番地制度なんてやめてしまって、すべて通りの名前を住所にすればいいのにね。そうすれば僕のような地理オンチでも、「たばこ屋の角を曲がって・・」なんて説明を受けなくても、地図を見るだけで一発でたどり着ける。
それに住民たちがみんなで通りの名付け親になれば、盛り上がると思うし。でもそういう便不便というのは、実際に違うものに接しないと、なかなか実感できないものですからね・・。
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コメント
うちの通りは、その昔、富士山が見えたと言うことで、「富士見町」といいます。区画整理以降、住居標示には使いませんが商店街の名前や子供会の名前として今でも使われていますよ。ちなみに富士山はもう見えませんが…
投稿: Sonny Katz | 2008年9月 1日 (月) 14時41分
この辺に葡萄畑があったせいか、近所にはワイン博物館もあります。一度行ってみようと、思ってるのですが・・。
投稿: ムッシュ柴田 | 2008年9月 1日 (月) 16時35分
我が家の前の通りは、アヴェニュー・ンゾンゴトロ、といいます。人の名前か地名かはいまだに知りませんが、ん、で始まるところがアフリカっぽくて気に入っています。
投稿: しろみ | 2008年9月 4日 (木) 12時19分
ンゴロンゴロみたいで、いい感じ!
今度の住まいは、どんな名前なんでしょうね?
投稿: ムッシュ柴田 | 2008年9月 4日 (木) 14時21分