セナ様のバーベキュー。

　イギリスの田園風景は、いつ見ても美しい。おまけにこの日は、珍しく晴れていたし。このあたりは何百年もずっと、こんな景色だったんだろうか。田舎の空港への降下中、窓にへばりついて見惚れてしまった。

　パリよりさらに緯度が高いから、夕方9時過ぎでもまだ昼間のように明るい。今夜は、バーベキューパーティだった。

　ソーセージとか鶏の腿とか串焼きとかポテトとかが、大盛りの皿で運ばれてくる。

　最初にイギリスのビールで乾杯して、それからはスペインワイン。赤は日本でもよく売ってる、ポピュラーなリオハだった。

　バーベキューに招待してくれたのは、左に座ってるお兄ちゃん。サングラスをしてると、よくわからないかもしれないけど・・。

　かなりピンボケで、スミマセン。でもこれなら、「あの人」の面影が感じられるのでは？名前はブルーノ・セナ。故アイルトン・セナの甥っ子です。

　隣の席に坐って、この青年の横顔を眺めていると、ついつい叔父さんのことが思い出されてしまう。目の辺りとか、巻き毛とか、確かにこんなだった。あの5月から、もう14年が経ったのだ。

　でも叔父と違って、甥っ子は軽いんだよね〜。まあ、まだ25歳なんだから、しょうがないか。

　アイルトンの姉で、ブルーノの母親であるビビアーニは、息子がこの世界に入るのを長く禁じていた。これ以上、愛する人を失いたくなかったから(ブルーノの父も、バイク事故で亡くなっている)。だからデビューは、比較的遅い。でもそのわりには頑張っていて、F1まであと一息だ。成功を祈りたい。それからもちろん、元気でいてほしい。