私はどうしても、ザウアークラウトが食べたいの!
スイスを発ち、僕はドイツへ仕事へと向かう。妻子はフランス東部ストラスブールまで送って行って、そこからTGVでパリに帰す予定になっている。
普通だったら、バーゼルからフランスに入って、そのまま北上すればよい。なのにわれわれは、わざわざドイツへ入国した。
ここは「黒い森」で有名な、フライブルグの町。なぜそんな回り道をしたかといえば、嫁が「ザウアークラウトを食べたい」と言ったからである。
ザウアークラウトとは、Sauer酸っぱいkrautキャベツ、という意味で、要は酢漬けのキャベツを蒸して、その上にソーセージや豚肉をどっさり載せたドイツ料理である。これがフランスに来ると、シュークルートChoucrouteという、似て非なる料理になる。
数年前にアルザスを旅行した際、嫁はこのシュークルートがいたく気に入った。しかし僕はその都度、「いやいや、本場ドイツのザウアークラウトは、こんなもんじゃない」と言い続けてきた。だったら食わせろということで、その目的のためだけにわざわざドイツに越境して、食べに行った。ところが入ったレストランでは、ザウアークラウトがメニューにない!それがトラウマとなって、このたびの回り道となったのである。食の恨みは、げに恐ろしい。
前回の失敗に懲りて、レストランにはすぐに飛び込まず、店の前で入念にメニューをチェックする。するとなかなか、ザウアークラウトがないのである。今回もダメかと思ったが、3,4軒目で、ようやく発見。
まずはその発見を祝し、ビールで乾杯する。ルツェルンのに劣らず、オイシイ。僕はやはり、濁った風が好みだ。大聖堂横の観光客向けの店だが、内装もウェイトレスの応対も悪くない。期待が高まる中・・、
まずは僕の注文した、子牛のカツレツが出てきた。肉もジャガイモも、「う〜ん、ドイツ」という美味しさ。フランスと比べて、ドイツ料理の素朴さをバカにする人もいるが、僕はこういうのも好きだ。
そしてついに、ザウアークラウトが登場した。
ところがちょっと、違うのである。僕のイメージするザウアークラウトは、大皿にはまず、馬に食わせるほど酢漬けのキャベツが盛り上げてあって、湯気を立てている。さらにその上に、太いソーセージが何種類も、そしてテラテラ脂の光った豚腿肉の固まりが、ごろんと横たわっている。そういう野趣あふれる料理である。
ところがこれは、上品過ぎるのだ。ソーセージが、皿に直接置かれてるなんて。キャベツは2回もフォークに刺せば、なくなってしまう。おまけに、冷めてる。ジャガイモは、どこだ。トマトやレタスなんて、いらない。
味は、悪くなかった。でもね・・。かくして嫁のザウアークラウトへの渇望は、いっそう増したのであった。
ちなみにウィキペディアの説明によると(こちら)、キャベツは酢漬けではなく、乳酸発酵によるものだそうな。ザウアークラウトの奥は深い・・。
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コメント
そうです、食の恨みは恐ろしいのです・・・。
それにしても名物料理の傾向として、大抵思っていたよりも上品な形に出てきてがっくりするみたいですね?おいしいけど違うんだよ~っていう。ブルゴーニュのカタツムリしかり。
投稿: しろみ | 2008年7月27日 (日) 19時03分
しろみんが「食の恨みは恐ろしい」と言うと、ものすごくリアリティがあります・・。
日本では先日、「東京での味噌煮込みうどん」で、同じことをやらかしそうになりましたヨ。
投稿: ムッシュ柴田 | 2008年7月27日 (日) 23時07分
昔ハイデルベルグで食べたザワークラウトがとても美味しかったのを覚えています。確かベーコンの刻んだの(フランスのLardon)が入っていて、私も、こんなうまいのはフランスにはないなと思いました。マダムも早く食べられるといいですね。
なんだか私も食べたくなってきました。
投稿: minmin | 2008年7月28日 (月) 01時08分
キャベツの発酵のさせ方が、どうもフランスのシュークルートと違うんですよね。もっと深みがあるというか・・(昨日まで発酵ではなく、酢漬けと思っていた人間の発言ということは、忘れて下さい)。
投稿: ムッシュ柴田 | 2008年7月28日 (月) 13時37分