クスクス、くすっ。
先日、タコ焼きを作りに来てくれたKさん一家が、「クスクスを食べたことない」というので、週末の夕食をごいっしょした。
17区のポルト・マイヨ近くの、シャルリCharlyというモロッコ料理の店。 クスクス屋としては、ちょっと気取った部類に入る。その分、値段もちょっと張るけれど、雰囲気はすごくいい。 ちなみにクスクスというのは、小麦粉を原料にした粒々を蒸したもので、それに野菜スープを掛けたり、肉を添えたりする料理も、同じようにクスクスと呼ぶ。モロッコやアルジェリアなど北アフリカを代表する料理だけど、もっと南の国々でも食される。昔セネガルに行った時には、ピーナツオイルで和えた上に、干した魚を載せたものを食べたことがある(クスクスに関しては、ウィキペディアの説明が、よくできてます。こちら)。 夜は34ユーロ(約5800円)のコースメニューのみ。 最初に、モロッコの代表的なスープ、ハリラが出て来る。モロッコのお袋の味、とでも言うべきもの。豆主体の、柔らかな味の優しいスープだ。ちょうどラマダン(断食月)に行った時、砂漠の町で日没後にまず食べるのが、このスープだった。 続いて赤ピーマンのマリネや人参のスパイスサラダ、茄子のキャビアなどなど、前菜の盛り合わせがドサッと出てきた。 そしてこれがメインの、クスクス・シャルリー風。いろんな肉の盛り合わせクスクスは、たいていの場合、その店の名前がついている。まず右手前の粒々を皿に取り、左の野菜スープを上からたっぷりかけて、子羊や鶏の串焼きを添えて食べる。好みで、豆板醤に似た辛いペーストを付けてもおいしい。野菜スープはトマトとパプリカベースで、人参やズッキーニ、蕪などがドッサリ入っている。このスープとクスクスは、基本的にいくらでもお代わりできる。でも出てきた分だけで、十分な量があるけどね。 ワインは、モロッコのロゼを注文した。ロゼとは言え、色は薄い。ヴァン・グリVin Gris(灰色ワイン)と呼ばれるものだ。暑い日のエスニック料理には、やっぱりロゼがいい。このワイン、北アフリカ特有の、ぎらぎらした太陽のような重さがない。産地を見ると、メクネス近くと表示されている。おそらく比較的標高の高い畑の葡萄から作られたと思われるような、繊細さが感じられた。 食事とともにグラスも進んで、4人で2本を空けてしまう。Kさん、「ワインは全然飲めない」んじゃなかった・・?でも、うれしいけど。 締めはやっぱり、テ・ア・ラ・マント(ミント・ティ)。このギャルソンのお兄ちゃん、顔は悪役系ながら、なかなか心憎いサービスをしてくれた。 メインの時のこと。Kさん母子がともに鶏のタジーヌ(素焼きの器の煮込み料理)を頼んで、このお兄ちゃんが運んできた。そしてフタを開ける前に、「はい、ご注文の鶏と魚ですね」と言うのだ。一同、「え?」という顔になって、「鶏2人前ですけど・・」と返す。「え〜、困ったな。じゃあ、作り替えて来ようかな」と、お兄ちゃん。 魚の苦手なSくんは、「どうしよう」という表情。隣でお母さんが、「じゃあ私が、魚を食べてあげるから」とか言ってるのを、お兄ちゃん澄ました顔で聴きながら、フタをサッ。すると中はちゃんと2皿とも、最初から鶏料理なのである。みんな「ワーッ」と歓声を上げて、さらに座が盛り上がった。 こんなサービス、客によっては怒り出す人もいるかもしれない。お兄ちゃんはその辺りの空気を読んで、臨機応変にやってるんだろうね、きっと。
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