「"50歳以上の老人"は、外していいでしょう」<映画の名セリフ>
和田誠さんの本で、「お楽しみはこれからだ。<映画の名セリフ>」というのがある。登場人物のセリフをきっかけに、縦横に映画を語るもの。三谷幸喜との対談集「それはまた別の話」とともに、何度も読み返している、僕の大好きな本です。
今回は、ちょっとそれをマネして・・。
メルボルンの中国人街で買った香港製DVDなので、ちょっと漢字が変だけど、「新幹線大爆破」というタイトル。1975年製作。大学時代に封切りで観て、興奮したことを覚えている。
新幹線に爆弾が仕掛けられ、時速80km以下になるとそれが爆発するという状況下、犯人と国鉄、警察の攻防が繰り広げられる。このアイデアはその後、キアヌ・リーブス主演「スピード」に拝借されている。
で、タイトルのセリフは、電話の声を基に、捜査本部の刑事が犯人を絞り込もうとして発した言葉。中年男性の声なので、「女性と、50歳以上の老人は外していいでしょう」と言うのだ。
30数年前の封切りの時は気にも止めなかったけど、今回これを聞いてガックリ。そうか〜、僕はもう老人なんだ〜。
この映画の公開から3年後、僕が新聞社に入った時の新人研修で、「『55歳の老婆が引ったくり被害』などという記事を、まだ散見する。注意するように」と言われたことを覚えてる。この頃がちょうど、「50歳以上は老人」が世間の常識から非常識へと変わる端境期だったのだろう。
裏返すと、日本全体がまだ活気に満ちて、若かったということか。それはこの映画の雰囲気にも、よく出てる。犯人役の高倉健、鉄道公安員の宇津井健、運転手の千葉真一。かなり濃いキャスティングだけど、みんなものすごくエネルギッシュだ。だから犯行動機はイマイチ不明だし、宇津井健が辞表を叩き付けるところが相当に唐突でも、最後まで引き込まれて、見入ってしまうのである。
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コメント
おぉ! 「新幹線大爆破」ですか! いいですねぇ。僕も好きな映画ですよ。
高校の時に学校の先生に「『スピード』なんか何がいいんじゃ! それやったら『新幹線大爆破』を見ろ!」って言われて、それ以来、好きな映画の一本ですよ。素晴らしい日本映画です!
しかし、さんざん勧めているにもかかわらず、僕の隣の席のM橋さんはなかなか見てくれないんです……。
投稿: ワインを飲めない男 | 2008年6月 5日 (木) 07時18分
爆弾の在りかを記した封筒を置いた喫茶店が火事になるところなんて、冷静に考えたら大笑い。でも見てる最中は、ハラハラしてたもんね(笑)。熱い映画です。
投稿: ムッシュ柴田 | 2008年6月 5日 (木) 12時28分