ミシェル・ブラスを食す。
夜になっても、風雨は止まず。むしろいっそう激しくなって、嵐の様相を呈している。
8時に、レストランへ。
内部はこんな感じ。サロン同様、シンプルな内装だ。奥のガラス戸の向こうが厨房で、食事を終えた客は内部に自由に入っていって、見学できるようになっている。ミシェル・ブラス本人が立ち働いているのも、遠くに見えた。
定番のつき出し。柄を短く切ったスプーンに、3種類6ヶが盛られている。野菜の煮こごり、牛肉のマリネ、もうひとつは真鯛だったかな・・。
「つき出しその2」の卵のムースを食べていたら、総給仕長といった風格のおじちゃんがニコニコと、「ほうら、これはいかがです」と出してくれたのが、右下の一切れ。お客にこれを出すのがうれしくてしょうがないという感じが、こちらにも伝わってくる。
フランスの松茸ともいうべき、セップ茸。それをタルトにしたものだ。この季節では生とは思えないのだが、強烈な香り。思わず娘の分まで、食べてしまった。
そしてコースメニューの一皿目が、これを味わうために人々がはるばるライオール村まで来るという「ガルグイユ」。近くの山野に育つ採れたての野菜や花、ハーブなど40種類(!)を、茹でたり、和えたり、あるいは生で、チーズベースのブイヨンをかけて食する。それぞれが、違った切り方をしてあるのが凄い。夏に来ると、種類はさらに60に増えると、ギャルソンが控えめに自慢していた(もっときれいな写真を見たい人は、こちらをどうぞ。洞爺湖バージョンは、やはりずいぶん食材が違う)。確かにこれは、また食べに来たい、というか即座にもうひと皿食べたかった。
コースメニューは全部で10皿近く出たので、ひときわ印象に残ったものをかいつまんで。これは生フォワグラのソテーに岩塩を振りかけただけのシンプルな料理。ライオールの、まるで外科用メスのような切れ味もあるのだろうが、ねっとりとした内部がまったく崩れない。ぱりっと焼け上がった表面とのコンビネーションが、ただただ素晴らしい。
乳のみ子羊のステーキ。赤ワインは、コント・ラフォンのヴォルネイ・サントノ・デュ・ミリウの1996年にした。10年以上経ってるからいいかと思ったが、この繊細な料理群にはちょっとパワフルすぎた。
3皿出たデザートのうち、一番好きだったのがこれ。一種のライスケーキなのだが、レモンゼリーと混ぜて、薄い飴ではさんである。爽やかで、今まで経験のない食感だった。
総じて、ミシェル・ブラスを食したという満足感は得られた。特にガルグイユは、ぜひもう一度食べに来たい。でもホテル部門も入れれば総勢60人の従業員を数える規模になって、それを維持することの大変さが、客であるこちらの方にまで感じられてしまう。
サービスは、たとえばパリのムーリスに比べるべくもない。料理の間隔が長すぎて、デザートが終了した時には午前0時半を回っていた。さすがに朦朧となった娘と二人で先に部屋に戻り、最後のカフェは嫁とおばあちゃんだけに味わってもらった。
ブラス家の嫁です。
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コメント
今、イタリアのローマに住んでます。イタリアから、電車でミシェル ブラスの行きかたを教えてくれませんか??
投稿: 下野 | 2009年11月16日 (月) 00時47分
下野さん、こんにちは。
スミマセン。鉄道の旅はまったく詳しくなくて、ご希望に沿えそうにありません。ライオール村に鉄道の駅はあるようですが、この辺りはフランスでも屈指の田舎で、かなりのローカル線という印象でした。イタリアからでしたら、パリあるいはニースまで来て、そこからライオールに向かうということになるんでしょうが・・・。
投稿: ムッシュ柴田 | 2009年11月16日 (月) 17時11分