「偉大なビンテージかどうかが、そんなに大事なことなのかね?」
2日目は、ボーヌから南に少し下がったヴォルネイVolnay村へと向かう。ロシニョール・シャンガルニエRossignol-Changarnierという、小規模な造り手。でもminmin家を始めとする日本人たちが、毎年のように葡萄の収穫を手伝う、知る人ぞ知る農家である。
ヴォルネイ村の表通りからちょっと入った、こじんまりとした一軒家。シャンガルニエというのは、奥さんの旧姓だそうな。
当主のレジスさん。Mさんたちが、なぜこの人の元に熱心に通うのか。人懐こい笑顔に、僕もすぐにコロッと参ってしまった。レジスさんにとって、自分の手がけるワインすべてが、自慢の子供たちなのである。だから、「ほら、これ」「これは、どうだ」と、次から次へと披露せずにはいられない。(今回も、Mさんのブログをご覧下さい)。
だからガンガン、開けてくれる。これでもまだ、ホンの途中。
レジスさんにとっては、グラン・クリュが一番偉いわけでもなければ、2005年が2004年より優れたワインとも限らない。すべてが、いとおしいのである。
「『う〜ん、うまい』と感じること。それが一番、大事なことなんじゃないのかね」などというありきたりな言葉も、レジスおじさんが言うと、変に説得力がある。Mさんも書いてるけど、厳しかった2004年の出来が予想以上に良かったことが、本当にうれしそうだった。
「決して偉大なビンテージじゃない。でもいかにも、ピノらしい。そしてそれぞれのテロワールを、忠実に再現できているじゃないか」。
セラーの中は、びっしりとフワフワのカビが繁殖している。「カビじゃない。キノコじゃヨ」と、訂正されてしまった。
最後の最後に、古いビンテージを振舞われる。「何だと思う?」。僕には、古いブルゴーニュとしかわからない。酸味もしっかりあって、十分に若々しい。きっとかなりいい畑のものに違いない。
ところが正解は、「サビニー・レ・ボーヌ」という、かなり格下のイメージのある産地の、1988年のものだった。
たまたま同席していた、ブールジュでワイン屋を営んでいるというオジサンが、それを見事に言い当てる。それを当てたことにも驚いたが、レジスおじさんが、「この人はワインの買い付けに来ても、滅多に試飲をしない」という言葉にはもっと驚いた。かつて試飲した記憶が、その見事なお腹の中に、いや失礼、頭の中に、すべて蓄積されているようなのだ。
しかもこの人、ブラインドで当てたことが、さも恥ずかしいことでもしてしまったかのような謙虚な態度なのだ。う〜ん、ワインの世界は、奥が深いゾ。
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