パリにも、こんなに愛想のいいレストランがあるんだ。
かつては寂れていたこの辺りも、今は画廊や小洒落たビストロの並ぶ界隈になっている。ラクロワのホテルからブラブラと5分ほど歩いて、予約したレストランに到着した。
「ル・パンフレ」(風刺文書)という変わった名前。何かいわくがありそうだけど、訊くのを忘れた。
店内はこんな感じ。テーブルの間隔が十分開いていて、9時過ぎには全席埋まっていたけど、窮屈そうな感じはまったくなかった。客の年齢層は、けっこう高め。東洋人のオジサン二人で坐っていても、特に違和感はない。
われわれは、ムニュ・デギュスタシオン(いろんな料理が少量ずつ出て来るコースメニュー)を注文した。最初に冷製ガスパチョスープが出て、これは2皿目の海老をニンニクソースで炒めたもの。付け合わせは、茄子のキャビア。グラスで頼んだ、ボルドーAOCの白との相性も抜群だった。
サラダで隠れてしまっているけど、パイ生地の上にグリーンアスパラが載っている。子羊の胸腺を炒めたものが、周りを縁取っている。「おいしいねえ」と、二人で顔を見合わせる。給仕をしてくれてるのは全員が若い女性で、キビキビと立ち働く上に、ニコニコと笑顔を絶やさないものだから、キムタカ氏は「いや、いい店だねえ」とご満悦だ(僕も)。
4皿目は、カジキマグロのステーキ。表面はパリパリと香ばしく、中はねっとりとジューシー。「フレンチで、こんなに魚のおいしい店も珍しい」と、キムタカ氏絶賛。この手のメニューにしては、各皿がけっこうな量なのだが、すいすいと入ってしまう。
このマグロステーキあたりから、赤に切り替える。ヴォルネイ1級畑を注文し、「かしこまりました」と言って下がって行った女性ソムリエが、すぐに戻ってきて「申し訳ありません。なくなってるのを忘れてました」と言う。普通ならずっこけるところだが、愛らしいのでオジサンたちは許してしまう。代わりに、サントネイ2005年を注文。クロ・ジュネという畑のもの。最後までなかなか開いてくれなかったけれど、ブルゴーニュらしいミネラルな感じを堪能する。
最後の肉料理は、小鴨のソテー。わずかに焼き過ぎだったのが惜しまれる。
オーナーらしき年配の女性が出てきて、「先ほどは申し訳ございませんでした」と言われた。最初に注文したワインがなかったことを、わざわざ謝りに来たのである。ちょっと、びっくり。改めてキムタカ氏と、「いい店だ」と、この晩何度目かの目配せをかわす。
このあとさらにピレネーの羊のチーズが出て、とどめはチョコレートムース。でも満腹感より満足感が優り、店を出たのは僕らが最後であった。
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コメント
へぇ~、ラクロワのホテルも面白いね~、外見がパン屋さんだなんて、ウロウロする人がたくさんいそう。前にオペラ座のバレエでラクロワの衣装の時があったけど、独特なゴージャス感は通ずるものがあるかも。このレストランもいいな~。愛想がいいとはめずらしいね。でも、ムッシュ柴田はこんなにワイン飲めたの~?おいしければ飲めちゃうのかな?私も久しぶりにフレンチ食べに行きたくなっちゃったな~。この前MAYU子嬢と約束したナリサワはドラの病気でドタキャン、、と~ってもおいしかったらしい。リベンジしないと!
投稿: ももどら | 2008年4月14日 (月) 16時05分
こちらは連日降ったり止んだりの天気で、お花見もままなりません。せめて、おいしいものでも食べないと。ウチの娘もここ数日風邪気味で、お互い気をつけないとね〜。
投稿: ムッシュ柴田 | 2008年4月15日 (火) 14時54分