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2008年2月20日 (水)

千秋せんぱ〜い!

 ワインも奥が深いけど、音楽の世界もすごいな〜、という体験をひとつ。

 近所のTさん宅が、「親子コンサートのチケットが余ってるので、いっしょに行きませんか」と誘ってくれた。前夜の深酒で頭に深い霧がかかったまま、娘について行く。

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 会場は、サル・プレイエル。フランスを代表するピアノメーカーだった、プレイエル社の遺したコンサートホールである(ブランドそのものは、まだかろうじて残っている)。建物もホールも、大戦前のモダンな雰囲気をとどめた、気持ちのいい空間だ。

 コンサートの眼目は、ある曲の成り立ちや作者の意図、曲の構造などを、子供たちにもわかるように解説することなのだが、その説明や実演がほんとに巧みで、むしろ大人の方が興奮してしまった。

 演奏したのは、ラジオ・フランス交響楽団。日本で言うと、N響みたいなものか?そして指揮者は、日本人の大野和士さん。聞いたことのある名前だな、ぐらいの認識しかなかったけど、すでに世界的な評価を得ている人だ(こちら)。でもこの日の彼は、コンサートの性格上当然とはいえ、そういう鋭く厳しい感じではなく、くつろいだ雰囲気で、自分はできるだけ前に出ようとしてないところも好もしかった。

 プロコフィエフの「キージェ中尉」という交響組曲を題材に、まずは主旋律をソロで聴く。そしてそれにひとつずつ違う楽器が加わって行くにつれ、どんなふうにイメージがふくらんでいくかを実演してくれる。講師役のフランス人の説明も、すごく上手だった。

 たとえば「これだけでもほとんど完璧ですが、もうひと振り、スパイスをかけてみましょうか」と言って、ほんの1小節ハープを聴かせる。それを加えて、再び同じパートを演奏する。すると確かに、味わいが深くなったことが実感できるのである。

 あるいは主旋律を金管と弦楽器で演奏し分けると、具体的にどう変わるか。なぜ作者はそれを意図したのか、等々を、必ず実演しながら教えてくれる。だからオーケストラというものが、いかに重層的な構造を持っているかがよくわかったし、何より曲の理解が格段に深くなる。

 「キージェ中尉」というまったく馴染みのない曲なのに、具体的な情景が、映画でも見るように立ち上ってきたのには感激した(プロコフィエフは当初、これを映画音楽として作曲したそうな)。

 それにしても大野さんがふっと右手を揺らしたり、わずかに左手を滑らせるだけで、音楽が生き物のように自在にうねる。指揮者って、すごい。

 

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コメント

いいですね。私も子供がもう少し大きくなったら、こんなふうな子供のためのコンサートやバレエ「くるみわり人形」なんかに連れて行ってあげたいな〜。
大野和士といえば、少し前のシャトレ劇場でストによる演奏会中止の危機に、3日3晩でオーケストラの曲を3台のピアノに書き直して上演し大成功を収めたという話はもはや伝説になろうとしているノリノリの指揮者。ルックスも☆☆☆だし。
この9月からはリヨンのオペラ座の主席指揮者に就任するそうなので、パリでもお耳にかかれる機会が増えるといいですね!
小澤征爾といいチョウ・ミュンフンといい、フランスは東洋人指揮者がお好き?

投稿: みらくるりん | 2008年2月21日 (木) 07時49分

演奏中も通路を子供が走り回ったりしてたけど、大野さん自身楽しんでる感じでしたね。ちょっと猫背気味に指揮してる後ろ姿は、小沢征爾によく似てました。

投稿: ムッシュ柴田 | 2008年2月21日 (木) 07時52分

このタイトルは、やっぱり「のだめ」から来ているんですか?(笑)

投稿: みなみ | 2008年2月22日 (金) 12時53分

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