ボジョレーの凄さーその2ー
(2月17日からの続きです。)
ということで、とある夕べ、この2本のワインを携えて、近所のお宅に招かれたのであった。
ワインといっしょに、またまた地下鉄沿線の肉類を買って持って行った。でもここはウチと違って瀟洒なアパルトマンなので、同じ肉が並んでも食卓の風景は、自ずと上品さを湛えている。
一応、前日の写真の左側、ひょろっと背の高いのから紹介すると、ブラックタイというアルザスの白。リースリング主体ながらピノ・グリもブレンドされていて、2006年と若い割りには奥行きのあるワインになっていた。
そしてボジョレーは師匠が(あ、師匠はやめてくれと師匠に言われたので(笑)、今後は単にM氏と呼ぶことにします)、「別格の格付け」と評価するうちのひとつ、ムーラン・ア・ヴァン。日本語に訳すと、「風車」です。このあたりにはかつて実際に、風車があったのかもしれない。
この酒神バッカスの付いたラベルを、見たことのある人も多いのでは。ブルゴーニュの大手ネゴシアン(ワイン商)のひとつ、ルイ・ジャドのトレードマークである。でもボジョレーの畑まで所有しているとは、知らなかった。
シャトー・デ・ジャックという蔵元。そこのシャン・ド・クールという畑の、2000年ビンテージだ。
前口上が、長くなりました。
コルクを抜くと、注ぐ前から濃密な赤い果実が香って来た。グラスの中の液体も、濃い赤い光を放っている。口に含んだ瞬間の厚み。そして舌から、喉を通過していくまでの、ビロードの余韻。ガメイ種でも、こんなワインができるんだと、いささか放心してしまった。
放心というより、衝撃と言った方がいいのか。同じ花崗岩質の土壌で育ったガメイ種から、ほとんど高貴と表現したくなるような、ここまですばらしいワインができるとは。なんと奥の深い飲み物を、この国の人々は作っていることか。
2000年はまだ十分に若く、抜栓して1時間以上経っても、固く閉じている。ブルゴーニュではあまり経験しないような、硬質なタンニンも感じられた。ゆっくり、ゆっくり呑もうと思ったのだが、この晩は名うての酒飲みぞろいだったため、シャン・ド・クールは乙女のまま、あっという間に儚くなってしまったのだった。
さあ、ボン・マルシェに急がなくちゃ。
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コメント
アップを今か今かと待ってましたが、昨晩は力尽きて寝てしまいましたよ。
これとは別にClos des Thorinsという畑とGrand Clos de Rochegresという畑のものがあるようなので、それがあったら是非また報告してください。ガイド本によると96年に造り手ごとジャドが購入したようです。
投稿: minmin | 2008年2月19日 (火) 07時42分
ブルゴーニュの特級一級畑をあらかた持ってる上に、ボジョレーも買収して、でもいいワインを造ってるから文句の付けようはないですね。
投稿: ムッシュ柴田 | 2008年2月19日 (火) 11時31分
アハハ! minmin氏、ボジョレーのレポート”後編”を待つのになぜそんなに力が入る?
私も”いささか放心”してみた〜い!と、早馬をボンマルシェに走らせてしまいました。(近くに住んでる友達に買いに行ってもらったんですけどね。)
「7本あるけどどうする?」と言われて一瞬、買い占めるべきか?という考えがアタマをよぎりましたが冷静になって一本だけ買い求めました。でも”ゆっくり、ゆっくり飲む”って私にできるかな?
投稿: みらくるりん | 2008年2月21日 (木) 16時28分
げっ、もう買いに行ってる・・。ということは、あと6本。早く行かなきゃ。
投稿: ムッシュ柴田 | 2008年2月21日 (木) 16時29分
ムッシュ、ついでに私の分も一本買っておいていただけますか?
投稿: minmin | 2008年2月23日 (土) 23時19分
まだ買いに行けてません。
今日の午後、ラ・ヴィーニャに行ったら、Morgonがあったんですが2006年だったんでやめて、代わりにフィリップ・パカレの2005年を2本買いました。
投稿: ムッシュ柴田 | 2008年2月23日 (土) 23時33分
パカレはビオの造り手で味も独特(微炭酸あり)ですから、モルゴンの味というより彼の味になっていると思います。
投稿: minmin | 2008年2月24日 (日) 01時17分
説明不足でした。パカレで買ったのは、シャンボール・ミュジニーと、ジュヴレイのレ・ペレールです。ちょっと楽しみ。
ジャドは、月曜日に行って来ますね〜。
投稿: ムッシュ柴田 | 2008年2月24日 (日) 07時47分