中華もいいけど、ヴェトナムもね。
と書いたけれど、実はパリの中華料理屋はその大部分がベトナム中華(現地邦人いうところの『ベト中』)である。両者をキッチリ分けるのは、なかなかむずかしい。
もともとインドシナ半島には、華僑がたくさんいた。そしてヴェトナムは長い間フランスの植民地だった経緯から、第二次大戦以降、インドシナ戦争、ヴェトナム戦争の戦乱を逃れて、ヴェトナム人や華僑がどっさりフランスに渡ってきた。そんな彼らが中華料理屋を開けば、どうしても中華とベトナムの折衷になるわけだ。
とはいえパリ13区のチャイナタウンには、純粋ヴェトナム料理屋も少なくない。以前もお世話になったミニコミ誌「フランス・ニュースダイジェストのレストラン紹介欄に出ていた店が、すごくおいしそう(こちら)。それで週末の晩、近所の2家族と総勢9人で繰り出した。
テーブルが3列、30人も入れば一杯になってしまう店内。中華との一番の違いは、店の人の愛想が格段にいいことだろうか。
前菜のひとつ、ヴェトナム風ラビオリ。豚のひき肉や野菜を、米粉で作った生地で包んで蒸した一品。湯通ししたモヤシが、下に敷いてある。上のハムみたいなのは、魚肉ソーセージ(かな)。甘辛いソースをかけて、いただく。ヴェトナム屋ではよくある前菜だけど、蒸した生地のとろけ具合が抜群で、この界隈では一番おいしかった。
続いてこの店の名物という、汁なし中華麺。レストラン紹介で「温かい冷やし中華」と書いてあったけど、まさにそんな感じ。いっしょに小さなスープが付いてくるが、それを掛けるわけではない。
なぜかエビの尾頭のくっついてる巨大かき揚げを持ち上げると、レタスがびっしり敷いてある。その下にエビや焼き豚がどっさり。そして最後に、カキ油ソース主体のソースに絡まった麺が詰まっている。これらをしっかりかき混ぜて、食す。
確かにおいしいけど、ちょっと脂っこいかな。インスタントヤキソバのような麺も、個人的には米麺(ビーフン)の方が好みかも。
その意味では、汁なし中華麺の汁入り(?)とも言うべき、こちらのサイゴン風ラーメンの方がおいしかった。米麺も魚介類のダシで取ったスープも、あっさりしている。上に乗っかったかき揚げが、食べてるうちに溶けてきて、たぬきのような風情を醸し出すのもいい。
デザートはゼラチンてんこ盛りのココナツジュース。これも、いい。
この店の料理は、「絶品〜」と叫びたくなるような、華々しいものではない。でもじわっと、身体に沁みてくれる。本来はヴェトナムのねっとりとした湿気の中で食べるものなんだろうけど、寒いパリにもよく似合う。ほんわりと暖まった身体で、僕らは家路に着いたのだった。
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コメント
アハッ! このタイトルは、某カレーのCMに起想してますよね?(念のため確認)
ご一緒させていただいた、近所の二家族の片方で〜す!初めて行ったのになぜか懐かしい、みたいなお店でしたね。
写真が上手というのもあるんだろうけど、エビちゃんがサラダの下からちょっと顔を出してたり、盛り付けが美しいですよね。パパイヤのサラダも美味しかったし☆ あの界隈のお気に入りの一軒に加えて、また行きましょう。
投稿: みらくるりん | 2008年1月22日 (火) 17時15分
おいしかったんで写真に撮り損ねたけど、PHOもおいしかったよね。また、行きましょう。
投稿: ムッシュ柴田 | 2008年1月23日 (水) 00時03分