博物館最上階の、噂のレストランである。
今日のパリは、どんよりと曇っていた。気温は10℃くらいで、この季節にしては高い方なのだけれど、湿気が多いせいか歩いていて寒い。ピューピュー風の吹くセーヌ川を渡って、エッフェル塔のすぐ横に去年できたばかりのケ・ブランリ博物館へ向かう。セーヌ川沿いの、ジャン・ヌーヴェル設計の細長い建物。一見すると、雑草の生い茂った倉庫みたい。
シラク前大統領が創設に執念を燃やした、アフリカ、アジア、オセアニア、南北アメリカの固有の文化、芸術を扱う博物館だ。でも今回のお目当ては、その最上階にある「レ・ゾンブル(影)」。レストランにしては、変わった名前である。
黒と茶色で統一された広々とした店内は、天井の鉄骨が異様な雰囲気。全面ガラス張りで、ぐるりとパリの街が見渡せる。テーブルもゆったり配置されている。僕たち以外の客は、男女ともほとんどが黒っぽいスーツを着たビジネスマンだった。おかげで店の中は、よけい暗くなった。
昼のコースは前菜、メイン、デザートで、37ユーロ。
まずは、海の幸のリゾット。お米さん、どこへ行ってしまったの、としばらく探さなければならないほど(ウソ)、上品な一品。でも茹で加減も味付けも、素晴らしい。
嫁の選んだこの前菜は、見ただけでは得体が知れない。トピナンブールという芋の一種(ネットで調べたら、菊芋と出ていた)のスープ。真ん中に突き出ているのは、半熟ゆで卵。自分の皿を僕に味見させてくれない場合、ものすごくうまくてあっという間に平らげてしまうか、大したことないかのどちらかだ。今回は、後者だったみたい。
メインは、子羊の肩の肉を煮込んだもの。見た目に、かなり難あり。最近のおしゃれなフレンチは、みんなこの手の真っ白なお皿を使いたがる。「ZEN(禅)」とか言って。でもこの料理にこの皿は、まったく合わないのだ。食欲を減退させる盛り付けである。完食したけど。
ワインリストにこれを見つけて、迷わず注文した。大好きなPerrot-Minotの、シャンボール・ミュジニー1999年。古木のブドウから作ったもの。ただ呑んでみると、ちょっと陰気な女になっている。本当は、こんなではないはず。貯蔵状態を疑りたくなった。
デザートは、米を牛乳で甘く煮込んだリ・オ・レ。これは当たりでした。下半分は、すっぱいレモンゼリーになっていて、リ・オ・レだけでは単調になってしまうのを救ってくれている。
食後のカフェは、こんなカップで出てきた。ソーサーに乗ってると普通の大きさだけど、実は乗ってるのではなく、埋まってるのである。右側は、取り出したところ。だから予想よりたくさんコーヒーが入ってて、ウレシイ。
このレストラン、眺望も素晴らしいし、一度はいいんじゃないかな。
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コメント
おぉ、ジャン・ヌーベル作の建物ですか。素晴らしいですねぇ。実は、前の会社の時、最後に手がけた本がジャン・ヌーベルの作品集だったんです。だから、ちょっと親近感を覚えますね。
投稿: ワインを飲めない男 | 2008年1月 9日 (水) 16時09分
トピナンブールとはあの”忘れられた野菜”ですね。イエナのマルシェのBIOの八百屋さんで手に入るという。アストランスではサラダで出すそうですが(手元の本の情報は2003年)、スープはいまいちなのかしら・・・。
投稿: しろみ | 2008年1月 9日 (水) 17時11分
ワイン飲めないクン、次回で建物について、もうちょっと紹介する予定です。
投稿: ムッシュ柴田 | 2008年1月 9日 (水) 20時19分
しろみさん、
なにぶん味見してないので、なんとも言えませ〜ん。見た目からは、気合いというか、一生懸命さは伝わってきたけどね。アストランスも確かそうだったけど、早くあの洗面器皿の流行が過ぎ去ってくれないだろうか。
投稿: ムッシュ柴田 | 2008年1月 9日 (水) 23時48分
「レ・ゾンブル」、行かれたんですね?
あの頭上に張り巡らされた鉄骨たち、晴れた日には光と影のコントラストが美しく感じられましたが、
昨日みたいな曇天だと、まったくダメなんですね。
「いちどはいいんじゃ?」って、富士山みたい?
「一度登らぬバカ、二度登るバカ」って言うでしょ。(私は二回登っちゃいましたけど。)
トピナンブーは、ずっと前にOVENIの記事を見て素揚げにして塩を振って食べたら、
「むかご」に似た風味がしてちょっと美味でしたよ。
投稿: みらくるりん | 2008年1月 9日 (水) 23時49分
そうそう。トピナンブールは、原形をとどめて食した方が、ずっといいかも。素揚げ、おいしそう。
投稿: ムッシュ柴田 | 2008年1月 9日 (水) 23時50分