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2007年12月 2日 (日)

無口なワイン

 先週末、友人宅に招かれて、夕食をご馳走になった。いつも凝った料理を出してくれるのが楽しみで、よくお邪魔する。うちからは、ワインを2本携えて行った。

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 そのうちの1本が、このシャトー・ラグランジュの1995年。10年以上前の1996年8月に、プリムール(先物買い)で買った時の領収書が残っていて、それによると1本90フラン(約1800円)とある。

 プリムールというのは、まだ瓶詰め以前、樽の中で眠っている時期に買うこと。これからどんなワインになるか評価が確立していないから、その分ずいぶん安く買える。確か注文して半年以上経った、翌年早々に配達されたと思う。

 それから何度か呑んでみたけど、どうもはっきりした印象が持てなかった。まだ眠りから十分に覚めていない感じだったのだ。それでしばらく地下蔵に封印して、放っておくことにした。

 でもうちに来てからでももう10年以上経つし、もうそろそろいいだろうと地上に上げ、2日ほど澱(おり)を沈めてから持って行った。

 開けてすぐはそれでも、まだ語りかけてくれない。こういう表現をすると、ワインにあまり興味のない人が読むと、引いてしまいそうだけど、ワインには饒舌な性格を持ってるのと、無口なのと、2種類あるんじゃないだろうか。

 コルクを抜いた瞬間に、パアーッと香りが広がって、「さあ、早く味わって」と催促してくる。こちらもつられて、話が弾む。こういうのが、饒舌なワイン。

 反対に、グラスに注いでしばらくしても、なんだかシーンとしていて、これからどんな物語を紡いでくれるのかよくわからないワインがある。このラグランジュが、まさにそうだった。無口なワインなのである。同じサン・ジュリアンでも、デュクリュ・ボーカイユ(Ducru-Beaucaillou)の86年は、ずっとわかりやすかった気がする。

 でも1時間以上空気に触れているうちに、すっかりほぐれてきてくれた。まろやかに熟成しているけれど、同時に十分に若々しい。赤い果実やカフェやスパイスや、皮革や、いろいろ複雑な香りも、立ち昇ってくる。最後まで控えめな感じは変らなかったけれど、すっかり幸せな感じにさせてもらっていた。なんだ、ホントはいい奴なんじゃん。

 

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