パリのカモメ
いつ頃からか、気がついたらチュイルリー公園でカモメを目にするようになった。カモメといえば、ふつうは海辺にいるものだ。それがどうして、こんな内陸の(ここからセーヌ川の河口、大西洋岸まで200kmはある)パリにいるんだろう。カモメに似た別の鳥?でも僕にはどうしても、カモメにしか見えない。
でしょ?
天気のいい日など、芝生の上にドッサリ休んでる。噴水の周りを群れながら飛んでる。なかなかシュールな光景だ。パリの主であるはずのハトたちは、おかげですっかり影が薄い。どうしてパリに、こんなにカモメがいるんだろう。
そしたら先日、その疑問に答えてくれる人物に遭遇した。例によって公園を走っていたら、三脚付きの望遠鏡と双眼鏡とで、カモメたちを熱心に観察してる人がいる。いったんは通り過ぎたものの、そうだと思って引き返し、声を掛けてみた(Nike+iPodを一時中断することは忘れずに)。
ーもしかして、野鳥を観察してるとか?
「そうですよ」
ーひとつ教えて下さい。どうしてこんなところに、カモメがいるんです?
「ああ。あそこにいるのは、大部分はカモメじゃないんですよ」
カモメじゃない?実はこの辺りがフランス語のちょっとややこしいところなのだが、日本語でカモメという言葉は、フランス語でmouetteムエットとgoelandゴエランのふたつを指す。仏和辞典を見ると、ゴエランの方が大型のカモメで、辞書によっては「ウミネコのこと」と書いてあったりする。
僕はこの時この紳士に、正確には「どうしてゴエランがいるんですか?」と訊いた。それに対して彼は、「いえ、ゴエランじゃなくて大部分はムエットですよ」と答えたのだった。
そしてムエットは海にもいるが、普通は内陸部の沼地にもいるんだそうな。だからパリにいても、おかしくない。ただし急激に増えたのは、水辺に捨てられる生ゴミの量が増えたから。そしてチュイルリー公園にいるのは、ここの芝生が数年前から人間立ち入り禁止になってるからだという。
鳥たちは遠くはデンマークから飛来して、ここで冬を越し、翌年の2月か3月にまた帰って行くんだという。
へえ〜そうなんだとしきりに感心していたら、「友人にツネヒコ・クワバラという芸術家がいてね。彼はバードウォッチャー仲間で、日仏両国語で野鳥ブログをやってるから見てごらん」と紹介してくれた。
ふ〜ん、クワバラさんね・・。そこで僕はハタと思い当たったのだが、この人は僕が昔仕事をきっかけにずいぶん仲良くさせてもらった人のお兄さんなのであった。いやはや、世間は狭い。いろんな人と出会ったり、知らないことを教えてもらったり。走ってると面白いことに遭遇するものです。
Merci infiniment,Monsieur Lesaffre!!
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コメント
僕のHPをご紹介していただき、有難うございました。
この方はギレム・ルザッフルというフランスの「野鳥業界」では有名人です。
昨日、彼からメールが来ていて、
「日本人とお会いして撮影されたが、お名前を伺ってないので、どこのブログか知らないか」
と聞かれたばかりなのですよ。
早速、彼に柴田さんのURLを送信しておきました。
蛇足ですが、この鳥は「ユリカモメ」といいます。仏名は、何故か mouette rieuse です。
投稿: クワ | 2007年12月10日 (月) 17時56分