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2007年11月

2007年11月30日 (金)

"マイナーリーグ"のワインたちーその2ー

 このワイン市でいつも困るのは、フランス全国から集まった作り手たちのブースが、全部ごちゃ混ぜになってること。たとえばブルゴーニュだけ試飲したくても、カタログを凝視しながら、「今度はDの4、次はRの35」などと、あっちの列からこっちの列へと行ったり来たりしないといけない。どうして地方ごと、AOCごとにグループ分けしないのか、すごく不思議だ。それでも今は各ブースの脇に立ってる標識が産地別に色分けされて、なんとか遠くから識別できるから、まだいいけど。

 白はほどほどにして、赤に集中することにする。

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 通りがかったこのブースでは、ワインのボトルの前にずらりと小さなビンを並べていた。

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 それぞれの畑の土を詰めて、見せている。左から「ビアンブニュ・バタール・モンラシェ」という白の銘醸ワイン。真ん中が「ボーヌ」の一級畑。そして右が、「クロ・ド・ヴジョ」。「ビアンブニュ」の石ころのようなのは、石灰石だろうか。「ボーヌ」が茶色っぽいのは、粘土質だから?などと、ブースに陣取ったオジサンと何となく話が弾む。醸造家というより農家のオジサン然としているところが、好感が持てた。


 このオジサンに限らず、ここにブースを出してる人たちは、当然といえば当然かもしれないけれど、売ることよりも作ることに熱心に見える。だから話してても楽しいし、こちらの初歩的な質問にも忍耐強く答えてくれる。 

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 ちなみにこの写真は、7月にシャブリに旅行した時に撮ったもの。これが畑かというくらい、石がゴロゴロしている。数十万年前、ここは海の底で、魚の骨や貝殻が積み重なって、石灰質になった。だからこの土から作られたシャブリは、牡蛎に合う。その話を「神の雫」で読んだ時は、ちょっと感動したものです。

 いかん、また白の方へと脱線してしまった。

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 あちこちさまよった末に、今年はこのドメーヌのシャンボール・ミュジニーという赤ワインの一級畑「レ・シャトゥロ」2005年を、1ケース買いました。1本32ユーロ(約5100円)。これで還暦に呑むワインが手に入ったかな。


 このワイン市には、有名な醸造家やシャトーは出店していない。その意味では野球で言えば、一軍半から二軍といったところかもしれない。でもこの中にも間違いなく、明日のスターになりうる作り手は存在する。それを自分の鼻と舌で探すのも、ここに通う楽しみのひとつだと思う。

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 娘の誕生年、2000年のソーテルヌを買ったシャトーのオーナー。とてもチャーミングな人でした。ワインもおいしかったし。いいものを手に入れたぞと家に帰ってカーヴをのぞいたら、なんと去年まったく同じのを買い込んでいた。ちゃんと管理しなきゃ・・。

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2007年11月29日 (木)

"マイナーリーグ"のワインたちーその1−

 先週末は、恒例のワイン市に出かけた。毎年春と秋、パリの見本市会場で開催され、年々規模が大きくなっている。会場もどんどん、広いところへと移ってきた。一体、全部で何軒の作り手が参加しているのやら。でもカタログやサイトを見ても、なぜかどこにも正確な数は出ていない。仕方がないのでカタログ巻末の索引で数えたら、997あった(多少の誤差はあるかも)。

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 フランス中からこれだけのワインの作り手たちが、ここにブースを構えて、自慢のワインを披露する(クリックすると拡大されます)。正式には「フランス独立系醸造者組合見本市」と言って、この組合のサイトを見てみると、全国で加入者は約10000人。大手の会社に属さず、ブドウ作りから醸造までを、すべて自分のところでこなしていることが、会員資格のようである。

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 初日金曜日の、しかも午前中に行ったので、まだ人出はそれほどでもない。これが土日になると、通路の赤じゅうたんが人ごみで見えなくなる。

 入場料は、6ユーロ(約1000円)。でもわざわざチケットを買って入る人は、ごく少数である。ここで一度でもワインを買うと、その作り手から必ず、次回の招待券を送ってくれるからだ。

 チケットと引き換えに、グラスを一個渡してくれる。それといっしょにあっちのブース、こっちのブースとさまよいながら、好きなだけ試飲していくわけだ。そして気に入ったワインがあったら、買う。会場内にはレストランもあるが、食事をする間も惜しいから、たいていサンドイッチで済ますことになる(フォワグラのサンドイッチが絶品です)。それでも1000近いブースのうち、せいぜい1日で20軒回れるかどうか。

 ひとつのブースで、5,6種類は試飲する。全部飲んでいたらひっくり返ってしまうので、ほとんどは吐き出すことになる。ああ、もったいない・・。ところがフランス人はクイクイ呑み干して、平気な顔をしている。酔っぱらって千鳥足で歩いている人など、皆無である。

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 今回僕たちは、ブルゴーニュを集中して回ることにした。一軒目に行ったのは、バシュレ・モノ(Bachelet-Monnot)という白ワインの作り手。端正なラベルが美しい。

 2005年のピュリニ・モンラシェ、バタール・モンラシェなどを試飲させてもらって、買いたい心がさっそくムクムクと起こってしまう。でもバタールの1本94ユーロ(約15000円)は論外だし、ピュリニ1級の42ユーロ(約6700円)も、ちと高いかな・・。アルザスやシャブリをケース買いしたばかりだし、白ばかり買ってどうすると自分に言い聞かせ、後ろ髪を思い切り引かれつつ、このブースをあとにした。

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2007年11月28日 (水)

ちょっと古いボジョレー

 今年も気がついたら、カフェやレストランの店先に、「ボジョレー・ヌーヴォー到着!」のポスターが張り出される季節になっていた。毎年なんとなく買って、それなりに楽しんでいるけれど、どうもやっぱりガメイ種の独特の癖が気になってしまう。

 そこで今年は、ヌーヴォーではないボジョレーを試してみた。2006年の「サン・タムール」というAOC。日本では、ヴァレンタインの時に人気のある銘柄とか。通りすがりのニコラ(フランス国内いたるところにあるワイン量販店)で、9,5ユーロ(約1500円)で購入。ボジョレーとしては、けっこういい値段です。

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 色はガメイ種独特の菫色。香りは、甘い甘いイチゴジャムのよう。口に含むと、まだしっかり閉じていて、匂いに連動した味わいを期待していたのに、はぐらかされる。それでも30分ほど放置しておくと、少しずつふんわりと開いてきた。

 甘い香りはいっそう濃密になって、キャンディを鼻先に持ってこられたみたい。でも決して、いやな感じではない。酸味もしっかりしていて、余韻もある。知らずに飲んだら、ピノ・ノワール種の赤ワインだと答えるだろう。

 そのワインが美味しいかどうかという基準は、わが家の場合きわめて単純である。話が弾んで、量も進むのが、僕たちにとってのいいワインなのである。この日は二人で半分ほど飲み、空気も抜かずにコルク栓をしたまま、台所の隅に放置。それでも翌日あらためて味わった時も、楽しい時を過ごさせてくれた。これから毎年11月は、「ちょっと古いボジョレー」を飲んでみようっと。

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2007年11月27日 (火)

ブルゴーニュ「栄光の3日間」その2

 ボーヌの町は、周囲を環状線が取り囲んでいる。道路が空いていれば、15分ほどで一周できてしまう。その曲がりくねり具合や、古い建物の並んでいる様は、昔はいかにもグルリと城壁が建っていたと思わせる雰囲気をとどめている。
 その環状線沿いにある、「ブシャール・エネ&フィス」社へと向かう。この時期はいろんな蔵元が、特別なテイスティングを行っている。ネットでいろいろ試飲リストなどを比較して、ここを予約したのだった。「ブシャール・ペール&フィス(ブシャール父子商会とでも訳す?)」は有名だし、聞いたこともあった。でも「エネ&フィス(長男と息子商会?)」は初耳。ここもずいぶん歴史のある会社のようだけど・・。

 白4種類、赤7種類の計11種類を試飲して、ひとり35ユーロ(5600円)。それが高いか安いかは、微妙な値段設定かな・・。ほとんどが最近のビンテージだったが、最後に1973年を2種類味わえることになっていたのにも釣られた。ところが・・。

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 これが、その73年モノ。左がジュヴレイ・シャンベルタン、右がボンヌ・マール。いずれも銘醸ワインといわれるものである。でもジュヴレイはこの写真でも明らかにわかるぐらい、濁ってしまっている。口に含むと、澱の渋味と酢になりかけているような風味で、ジュヴレイの面影はまったくない。とても、呑めません状態だった。

 それに比べるとボンヌ・マールは、縁(ふち)はすっかり瓦色になっているものの、透明度は高い。酸味もあるし、変にひねた感じがない。すべてがまろやかで、同時に十分に若々しい。それまでのワインはほとんど吐き出していたけれど、これだけはすっかり呑んでしまった。注いでくれてるオジサンが東洋人の顔の見分けがつかないのをいいことに、同行者は2杯目までお代わりしていた。僕もそうしたかったけど、そんな度胸がないのが残念・・。

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 試飲会場のあちこちに、私設博物館のような感じで昔のものが展示してある。これはワインに貼るラベル(エチケット)の原板。石版印刷だったのですね(クリックすると、拡大されます)。

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 こちらは20世紀初頭の、販促パンフレットのようなものと思われる。真ん中のページは、世界中の博覧会、展示会での受賞リスト(これも拡大可能です。というか、基本的にすべて拡大可能です)。たとえば「1900 Paris」とあるのは、同年に開催された万国博覧会と思われる。そこで金賞を受賞しているのだが、はたしてそれが当時、どれほどの価値があったのやら。

 1855年のパリ万博でボルドーワインの格付けが行われたのは、有名な話である。しかしブルゴーニュは今日に至るまで、その種の格付けとは無縁で来ている。それはどうしてだったのだろう。あまりに細かく、畑が分かれているから?当時はボルドーほど、外国に輸出されていなかったから?でもこのリストを見ると、ハノイとかセントルイスとか、リマ(!)とか、ずいぶんあちこちに出品して、頑張っている。この時期のブルゴーニュは、アジアや新大陸へと雄飛しようとしていたのかもしれない。ブシャールのワインは、日本にも輸入されていたのだろうか。

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2007年11月26日 (月)

ブルゴーニュ「栄光の3日間」その1

 先週末、ブルゴーニュ地方まで1泊2日の短い旅行に出かけた。パリからだと、高速道路A6をゆっくり走って3時間ぐらい。毎年11月の第3週のこの時期には、ボーヌという町でワイン祭りが催されている。「栄光の3日間」という、ずいぶんたいそうな名前の祭りである。出発した日は快晴だった分、冷え込みが厳しかった。車外温度は、かろうじて氷点下まで下がらないというところ。

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 州都ディジョンから、ボーヌに向かう途中の葡萄畑も、すっかり冬枯れていた。このふたつの町にはさまれた南北30kmあまりの間に、ジュヴレイ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニ、クロ・ド・ヴジョ、ヴォーヌ・ロマネといった村々が連なっている。

 ひとつひとつの村自体は、何の変哲もない、フランスのどこにでもあるようなたたずまいである。しかしその周辺の畑で収穫された葡萄から、信じられないほど多様で、深い味わいのワインが作り出される。しかもたった1種類の品種から。ここを訪れるたびに、その不思議さに打たれてしまう。

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 摘み残された葡萄が、枝にくっついていた。水分がほとんど飛んで、干し葡萄状態になっている。口に含むと、濃密な甘さが広がった。

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 おそらくこの一帯でもっとも有名で、もっとも高価であろう「ロマネ・コンティ」の畑。ここを訪れたのは8年ぶりで、どこにあるのかすっかり忘れてしまい、しばらくウロウロしてしまった。畑の前に十字架があったのを何となく覚えていて、それを頼りに行こうと思ったら、そこかしこに似たような十字架が立っている。ジョギング中の二人連れのオジサンに道を聞いたら、「ついて来な」というので、後ろをノロノロと徐行する。点在する十字架は、かつては修道院が畑を所有しており、その名残であるという話を、どこかで聞いたような・・。

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